「安倍政権は民進党よりマシなのか?」
自称保守やネトウヨの「短絡思考」の罪悪。
作家・哲学者の適菜収が「安倍政権の無能と欺瞞」を討つ批判の毒矢
東京選挙区で当選した元バレーボール選手の朝日健太郎は、自民党の改憲問題について質問され、「新人なんで党の方針に従うだけです」と返答。
自民党比例代表で当選した元アイドル歌手の今井絵理子は、米軍基地問題について質問され、「わからない」「これから勉強します」と返答。選挙中には「選挙に忙しいので政策の話をしている暇はありません」と答えている。
維新の会の候補者に、参院議員になったら一院制の導入を目指すという女のコがいた。幸いにも彼女は落選したが、参院の役割を知らない人間が参院議員になろうとしていたのである。チンパンジーにジャンボジェット機の操縦を委ねるようなものだが、大衆社会において国民の生命・財産を預かっているのはこうした人材なのである。
オルテガは言う。
「大衆は精神といっさい関係をもとうとしないし、新世代は、この世界が、あたかも過去の痕跡をもたず、昔からの複雑な問題をもたない楽園であるかのように考え、自分たちの手に世界の支配権をとろうとしたのである」(同前)
「身を切る改革」などと言いながら、良識も見識も知性も恥も外聞も、すべてを切り捨てた結果、残ったのは「思い上がり」と「革命気分」だけだった。
既得権益を持った連中が、「既得権益を壊せ!」と叫べば、ルサンチマン(恨みつらみ)に支配された大衆は、脊髄反射的に国や社会の破壊に駆り立てられていく。ポテトチップスを食べながら、ぼんやりワイドショーを見ているうちに、巨悪に加担してしまうのが近代社会なのだ。
愚鈍は犯罪である。
(※適菜収著『安倍でもわかる政治思想入門』から本文抜粋)
著者略歴
適菜 収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)など著書多数。安倍晋三の正体を暴いた渾身の最新刊『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)が発売即重版。全国書店、Amazonにて好評発売中。